醜形恐怖症(身体醜形障害)は、自身の外見に対する過度な思い込みや不安を抱く精神疾患です。他者から見れば些細な欠点や全く問題のない部分であっても、本人は「自分はかわいくない」「身体の一部が人より劣っている」と強く感じ、日常生活に支障をきたすことがあります。
症状としては、顔の形、肌の状態、髪の毛の量など、特定の部位に対する強い不満や執着が挙げられます。これに伴い、鏡での過剰なチェック、他人からの評価を頻繁に求める、気になる部分を隠すための化粧を繰り返すなど、強迫的な行動が見られます。また、外見への不安から人前に出ることを避け、不登校になるなどの回避行動に陥ることもあります。
この疾患は、主に思春期から青年期にかけて発症することが多く、男女問わず見られますが、女性にやや多い傾向があります。原因は明確ではありませんが、心理的、環境的、遺伝的な要因が複合的に影響していると考えられています。
治療法としては、薬物療法と心理療法が主に用いられます。薬物療法では、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの抗うつ薬が用いられることがあります。心理療法としては、外見に対する思い込みや非機能的な思考パターンを修正し、不安を引き起こす状況に段階的に直面しながら回避行動を減らす訓練が行われます。
うつ病、不安障害、強迫性障害などの精神疾患と併存することが多く、相互に症状を悪化させるため、早めに適切な治療を受けることが望ましいでしょう。
醜形恐怖症は、ご本人が症状を隠そうとする傾向があるため、治療につながりにくいとされています。しかし、早期に適切な治療を受けることで、症状の改善や社会生活への復帰が期待できます。外見に対する過度な不安や日常生活への支障を感じている場合は、専門医への相談をおすすめします。