知的な水準には大きな問題はないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった学習に必要な基礎的な能力がうまく獲得出来ない状態を指します。
特に読むこと、書くことは、学校生活でどの場面でも必要になるため、読み、書きに障害があると、学校生活全般がしんどくなることが多くなってしまい、学校への行きしぶりや不登校などにつながることが少なくありません。
適切な支援を受けることで、学習上の困難を軽減できます。ご本人にとって学校生活が実り豊かな体験となるように早期に適切な介入をして、学習環境を整えてあげましょう。
文章を読むことが苦手なため、文章の意味が理解しづらくなります。また、お子さんによっては文節ごとに区切って読んでしまうため、音読がたどたどしくなってしまうといったことがあります。国語以外の他の教科でも教科書を読んで意味を理解することが難しくなりやすいとされます。
読みやすくするように鉛筆や定規をあてて文章を読む工夫をされるお子さんもおられます。また、学校の協力が必要になってくることもありますが、タブレットを利用することでフォントをご本人にとって読みやすいフォントに変換するといった工夫もあります。
音読をすることでご本人が不快な体験になってしまうという場合には、授業中音読をしないですむように配慮を求めることもありうるでしょう。
字を書くことが難しい状態です。字を書くことが難しいということが理解されないケースも少なくなく、ご本人の努力不足が原因とされて、延々とひらがな、カタカナ、漢字の練習をさせられてしまうといったことが多々あります。
文字が書けないといわれてもイメージがつきにくいかも知れませんが、ミッキーマウスやピカチュウの絵を描いてと言われて、描けない人がいるイメージはつくのではないでしょうか。文字の形を認識しづらい、文字の形を認識していても、協調運動が難しく、手がその文字の形をなぞれない、書けないといったことが原因になることがあります。
大きめのマス目のノートを使ったり、補助線のあるノートを使うことで書きやすくなるお子さんもおられます。漢字の宿題は比較的量が多い場合も少なくありませんが、書字障害のお子さんの場合には、その書く分量を調整してもらうことも検討して良いかも知れません。
漢字とその意味、音読の音のつながりを理解してもらいつつ、ゆっくり丁寧に書く練習を繰り返すことで少しずつ書くことに慣れていくことが望ましいでしょう。
また、社会に出た場合にはパソコンで文字を打つことのほうが多いため、早めにタブレットやパソコンなどで文字を書くことに慣れていくことを検討しても良いでしょう。テストなどではまだ難しいと思われますが、パソコンで文字を打てていれば必ずしも書けなくてもそんなに将来に困らないよとご家庭で声かけをしてあげられれば、ご本人の不安感を軽減することが出来るでしょう。
算数や計算することが難しい状態です。数の概念を扱う、理解することが難しく、「2と5を足したらいくつになる?」といった問題に答えられないといったことが起こります。九九自体は呪文のように暗唱出来ても、それを計算に使えないことがあるでしょう。
日常生活でスーパーでリンゴを昨日2個買って、今日は5個買った、といった体験が概念の理解につながることがあるため、日常生活での数字にまつわる体験に着目して、理解してもらえるよう、声かけしてもらうと良いでしょう。お小遣いを渡して、駄菓子屋さんなどでそのお小遣いの中でお金を使う練習をすることで数の概念の理解を進めていくのも良いのではないでしょうか。