適応障害は何らかの環境の変化に伴って、その環境に適応していく過程で生じる色々な精神症状を指します。
大人の場合には就職、部署異動や昇進といった環境の変化、お子さんの場合には小学校や中学校への入学、クラス替え、友達との不仲といったことが原因で寝付けない、イライラする、不安になる、悲しくなる、集中出来ないといった精神的な症状、怠い、食欲がないといった身体的な症状、もしくは、遅刻や欠勤、不登校、ゲームやギャンブルに依存するといった社会的な適応を悪くさせる行動がみられるなどして、日常生活に影響が及ぶようになります。
ストレス因が明確な場合には、それをご本人にとってストレスの少ない形で環境調整が出来ないか検討します。異動後の職場の人間関係がストレス因という場合には、再度部署異動が出来ないか検討してもらう、特定の人間関係や業務を減らすように調整するといった対応方法を取ることがあります。
薬物療法や認知行動療法などの心理療法を行うことも多いです。うつ症状が強く、日々泣いてしまう、朝起きられないといった症状が強い場合には、薬物療法として抗うつ薬による治療が検討されることもあります。不安や不眠に対して抗不安薬や睡眠導入剤の処方を検討することもあります。心理療法としては物事の受け止め方の偏りを認識し、フラットに物事を受け止められるようにする、適切に問題を解決するための方法を検討する、自分自身のリラクセーション方法を多様にする、相手に自分の気持ちを上手く伝える方法を考える、といった方法が用いられるかもしれません。
社会人の方の場合、勤怠が乱れる、寝付けない日が増えた、朝起きられない、土日ずっと寝て過ごす、泣いてしまう頻度が増えた、などの症状が出た場合には一旦休職して体調を整えてから仕事に戻られる方がその後のキャリアや仕事が円滑に進むこともあります。
お子さんの場合も、友達とのトラブルをきっかけに、学校に行けずに平日落ち込んで過ごす、生活リズムが乱れてゲームばかりするようになる、といった症状が見られることがあります。明確にお子さんにとってストレスがかかる出来事があった直後に無理に学校に行かせることは望ましくないかもしれませんが、漫然と家にいる状況が続いてしまうと再度登校するときの不安が高まってしまうため、家にいる状況が続きやすくなってしまいます。
ご家族の中だけで対応することは難しいことが少なくない一方で、医療機関やその他の機関とつながることで、そういった社会適応が難しい状況から回復することは少なくありません。
お困りであれば、早めに医療機関にご相談ください。