・うまく学校に適応できない、勉強が捗らないようなお子さんがどういったサポートを受けたり、どういった環境調整をすれば生きやすくなるかを判断するために
・今後社会人になるために自分はどういった適性があるのだろうと判断するために
・なんとなく生きづらさを抱えてきて大人になってこられた方が今後どうしたら生きやすくなるかを判断するために
心理検査とは質問や課題、作業などを通して人の心の特徴や状態を客観的に測る方法です。知能、記憶、注意力、性格、感情などを科学的に評価し、強みや課題、心の不調の有無を明らかにします。
結果は診断の補助資料になったり、支援方法の検討、自己理解の促進に役立ちます。
小学4年生のAくんは、授業中に板書を写すのがとても遅く、ノートがいつも途中までしか書けませんでした。先生からは「もっと集中して」と声をかけられるものの、自分でもどうして追いつけないのか分からず、学校がつらいと感じる日が増えていました。
保護者の方が心配され、当院を受診。学習面のつまずきや注意の特性を詳しく知るためにWISC-ⅤとSTRAW-Rを実施しました。結果、Aくんは言語理解や推論力は平均より高い一方、処理速度がやや低く、読み書きの正確さに時間がかかる傾向が明らかになりました。
この結果をもとに、学校と面談を行い、以下の配慮をお願いしました。
・板書はプリントで事前配布
・ノートは要点のみ記入でOKとする
・読み上げや口頭での説明を増やす
配慮が始まってから、Aくんは授業についていけるようになり、得意な発表や意見交換で自信を取り戻しました。「学校が少し楽しくなった」と笑顔で話すAくんの姿に、保護者や先生も安心されています。心理検査が、Aくんの特性を理解し、学びやすい環境をつくるきっかけとなりました。
30代のBさんは、事務職として働いていましたが、最近ミスが増え、上司からの注意も重なり自信をなくしていました。業務中に集中が続かず、書類の確認漏れや入力ミスが目立ち、帰宅するとぐったり疲れてしまう状態でした。
「自分に向いていないのでは」と悩み、当院を受診。認知機能や注意特性を詳しく調べるためにWAIS-IV(成人用知能検査)とCAARS(成人用ADHD評価尺度)を実施しました。結果、全体的な知的能力は平均範囲内でしたが、作業速度と注意の持続力に弱さがあり、ADHD傾向が認められました。このため薬剤治療を開始するとともに、心理検査結果をもとに、職場に以下の配慮をお願いしました。
・複数の作業を同時に進めるのではなく、タスクを細かく区切って処理
・入力作業後にチェックリストで確認
・集中しやすい席の配置やノイズ軽減
配慮が導入されてから、Bさんのミスは大幅に減少。業務効率も上がり、「仕事を続けられそう」と前向きな気持ちを取り戻されました。心理検査が、適切な働き方や環境調整を見つける第一歩となりました。
1. WAIS-IV(ウェクスラー式成人知能検査)
16歳以上を対象とし、言語理解・知覚推理・ワーキングメモリ・処理速度の4つの指標で知的能力を測定します。学習や仕事での課題分析、認知機能低下の有無の確認などに活用されます。
2. WISC-Ⅴ(ウェクスラー式児童用知能検査)
5歳〜16歳11か月の子どもが対象。思考力、言語理解、視覚的・空間的な能力、記憶や情報処理の速さなどを評価します。学習上の困難や発達特性の理解、支援方法の検討に役立ちます。
3. WPPSI-Ⅲ(ウェクスラー式幼児用知能検査)
2歳6か月〜7歳3か月の幼児を対象に、言語や非言語の認知能力、基本的な記憶力や理解力を測定します。発達の偏りや得意・不得意を早期に把握し、教育や療育の方向づけに活用されます。
1. STRAW-R
・正式名称:Screening Test of Reading and Writing - Revised(改訂版 読み書きスクリーニング検査)
・対象年齢:おおむね小学校1年〜中学生
・概要:ひらがな・カタカナ・漢字の読み書き、文章理解などを測定し、ディスレクシア(読み書き障害)や学習障害の可能性を把握します。学習支援や指導方針の検討に有用です。
2. LDI-R
・正式名称:Learning Disability Inventory - Revised(改訂版 学習障害評価尺度)
・対象年齢:小学校低学年〜高校生
・概要:保護者や教師による質問紙形式で、注意力、記憶、読み書き、算数、学習態度などを多面的に評価します。日常生活や授業での困難の背景を把握し、支援計画づくりに役立ちます。
1. Conners(児童用)/ CAARS(成人用)
・正式名称:Conners' Rating Scales(Conners 児童用評価尺度)/CAARS(Conners' Adult ADHD Rating Scales)
・対象年齢:児童用は6〜18歳、成人用は18歳以上
・概要:注意欠如・多動症(ADHD)の症状や関連する行動特性を、本人・保護者・教師などが質問紙形式で評価します。注意力、衝動性、多動性、情緒面の傾向が把握できます。
2. AQ(成人用AQ / 児童用AQ)
・正式名称:Autism-Spectrum Quotient(自閉スペクトラム指数)
・対象年齢:成人用は16歳以上、児童用は4〜15歳程度
・概要:自閉スペクトラム症(ASD)の傾向を自己記入または保護者記入でスクリーニングする質問紙。社会性、コミュニケーション、想像力、注意の切り替え、細部へのこだわりなどの特徴を数値化します。
3. PARS-TR
・正式名称:Pervasive Developmental Disorders Autism Society Japan Rating Scale - Text Revision(広汎性発達障害日本自閉症協会評定尺度 改訂版)
・対象年齢:おおむね2歳〜成人まで(発達歴を含め幅広く評価可能)
・概要:発達歴と現在の状態を半構造化面接形式で聴取し、自閉スペクトラム症の特性を総合的に評価します。診断補助や重症度の把握に用いられます。
1. PF-study
・正式名称:Picture-Frustration Study(絵画欲求不満検査)
・対象年齢:児童〜成人(幅広く実施可能)
・概要:欲求不満やストレスを感じる場面のイラストに対し、相手や自分がどう言うかを記入。怒りや不満を外に向けるか、内に向けるか、回避するかなどの傾向がわかります。対人関係やストレス対処スタイルの理解に有効です。
2. SCT
・正式名称:Sentence Completion Test(文章完成法テスト)
・対象年齢:児童〜成人
・概要:「私は〜」「将来〜」など未完成の文章の続きを自由に書かせる投影法検査。思考・感情・価値観・自己像・対人関係の特徴を把握します。無意識的な関心や葛藤も浮かびやすい検査です。
3. MMPI
・正式名称:Minnesota Multiphasic Personality Inventory(ミネソタ多面的人格目録)
・対象年齢:成人(高校生以上〜)
・概要:数百の質問に「はい/いいえ」で回答。感情面、思考パターン、行動傾向、精神症状(抑うつ、不安、被害念慮など)を多面的に評価します。臨床診断の補助や性格傾向+症状スクリーニングに有効です。
心理検査の料金は税込みで以下の通りです。料金は検査の種類や内容により異なります。
WPPSI-Ⅲ | 16,500円 |
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WAIS-Ⅳ/WISC-Ⅴ | 16,500円 |
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田中ビネー知能検査Ⅴ | 16,500円 |
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PARS‐TR | 8,800円 |
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Conners/CAARS | 8,800円 |
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LDIーR | 5,500円 |
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STRAW-R | 13,200円 |
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