抜毛症は美容以外の理由で体毛を繰り返し抜いてしまう病気です。体毛を抜くことは良くないと理解しながらも、うまくその行為を止めることが出来ません。
不安や緊張の高まりが抜毛により減じる、もしくは抜毛する瞬間の感覚を確認したいといった理由で開始、持続し、やめられなくなります。
皮膚むしり症は傷が出来るほど皮膚をむしってしまい、皮膚をむしる行為がやめられず、主観的に苦痛を感じていたり、日常生活上大きな影響が出ているときに診断が下されます。
ストレスや不安を感じている場面でむしってしまう、かさぶたを剥がす感覚がよくて繰り返し剥がしてしまう、など理由は様々ですが、いずれにせよその状態が持続するシステムが出来上がってしまうため、続くことになります。
いずれも思春期・青年期での発症が多いとされ、差はありますが、女性の割合が多いことが特徴です。強迫性障害やうつ病などとの併存も多いと報告されています。
治療としては薬物療法と心理療法があります。
薬物療法としてはSSRIといわれる抗うつ薬に一定の効果が報告されたものはありますが、十分効果が挙げられるわけではありません。どうしても行動嗜癖(特定の行為から得られる刺激や安心感にのめりこみ、やめられなくなって、日常に支障を生じてしまう)的な側面があり、薬物のみで解決しようとするのは難しいと考えられます。
心理療法としてはhabit reversal法やその方法の一部である拮抗動作で対処すると言う方法を検討することがあります。もちろんストレスなどが原因になっていることもあり、それを軽減することも大切なこともありますが、原因探しをしてしまうと上手くいかないことが多いです。
今まで抜毛してしまっていたような場面で手やぬいぐるみのような触り心地の良いものを触る習慣を付ける、また抜毛しているときの感覚が良い感覚につながってしまっているような場合には、手袋をしたりすることでその感覚を味わいにくくすることで、抜毛する動機付けを減らすといったこともアプローチとしては考えられます。
いずれも自然に軽快することもありますが、抜毛の場合には、周囲からの目が気になって不登校などのきっかけになりやすいこと、皮膚むしり症は感染症などのきっかけになってしまうことなどから、一度は医療機関で相談されることをお勧めします。