近年10代の方でもよくみられるようになり、市販薬の使用障害に関しては社会問題化している側面もあります。
原因は様々ですが、学校でのいじめや不適応、過去の逆境的な体験の存在や家庭環境の影響、ご本人の発達特性の偏りなどが背景にあることが多いようです。また近年はSNSなどの影響を受けてそういった行動をしてしまうケースも少なくないようです。
発見された場合には、緊急度に応じて必要があれば救急車などの要請も検討してください。過量服薬の場合には何をどれくらい内服していたかがはっきり分かっていれば自宅で休んでいて良いのか、救急要請した方が良いか分かることもありますが、実際には分からないことも多いため、救急要請していただいた方が無難でしょう。
ご家族の心情としてはびっくりされる、そして、そういったことはしないよう怒ってしまうということが少なくないかと思います。お子さんのことを心配していればこそそういった行動になってしまうことは当然ありうるかと思いますが、一般的には望ましくないとされます。お子さん自身も何らかの事情で生きづらさがあり、それに対する対処法としてリストカットや過量服薬をされているので、それで怒られてしまうと、どう対処したら良いか分からなくなってしまい、より過激な行動に出てしまうといったことにつながりかねません。
一方で、リストカットや過量服薬されている方がよりリスクの高い自殺関連行動をとる可能性は高いといわれているため、見て見ぬ振りをすることも望ましくないでしょう。
リストカットしたくなるくらいしんどかったんだね、と共感的に接して頂きつつ、何があったのか穏やかに確認して、緊急的に環境調整が必要な部分を確認して頂く一方で、医療機関につないで頂いた方が望ましいと思います。親御さんにはいじめられているといったことを話しにくいと言われるお子さんが多いためです。
医療機関ではご本人の特性、性格などを見つつ、ご本人の得意なこと、好きなことを再発見してもらえるよう心がけています。一般的にリストカットしてしまうようなお子さんは自分の出来ていないところ、自分がダメだなと思っているところに目が向きがちなことが多いためです。
つながりを増やすことが重要になってきますので、学校、医療機関、その他の居場所など含めた環境作り、そして、リストカットや過量服薬以外の方法でしんどい気持ちを受け流せるようになる方法について検討する、カウンセリングなどを通して相談するといったスキルを向上させるといったことが大切になってくるでしょう。