場面緘黙症

場面緘黙症は、特定の状況や環境下で話すことができなくなる不安障害の一種です。家庭内や親しい人々の前では普通に話せるにもかかわらず、学校や職場などの特定の場面では言葉が出なくなることが特徴です。
この症状は主に幼児期に発症し、はっきりした有病率は不明ですが、約0.2%とされ、女児のほうが男児よりも多いとされています。
以下のような様々な症状を呈することがあるとされています。

● 特定の人との会話が難しい:家庭内では話せるが、学校の先生や友達とは話せない。
● 特定の状況での発話が難しい:日常会話は可能でも、人前での発表や挨拶ができない。
● 動作や表情が制限される:手を挙げる、ジェスチャーをする、表情を変えるといった行動がうまくできない。

治療法としては、認知行動療法、薬物療法、環境調整が挙げられます。
認知行動療法では、不安を引き起こす考え方や行動パターンを修正し、症状の改善を図ります。特に、エクスポージャー法(段階的曝露法)を用いて、徐々に不安を感じる状況に慣れていく訓練を行います。
話せる範囲を少しずつ広げていく方法です。例えば、家庭内での会話を増やし、それを学校や職場などの外部環境へと段階的に広げていきます。この際、子どもが発話するまで5秒程度待つことや、話せたときにその言葉を繰り返して褒めることが効果的です。
不安障害やうつ病などを併存している場合には、抗うつ薬や抗不安薬などを使用することもあります。しかし、場面緘黙症の患者さんは未就学児や小学校低学年のお子さんが多いため、漢方などが試されることはあるかもしれませんが、積極的には行われないことが多いでしょう。
小さな一歩を踏み出すことが何よりも大切であり、学校での理解と協力が重要です。例えば、学校で無理に話させようとせず、筆談やジェスチャーなど他のコミュニケーション手段を認めることが大切です。本人が小さな一歩を達成することで自信を持ち、安心できる環境を整えることで、徐々に発話の機会を増やすことが期待できます。
場面緘黙症の症状や程度は個人によってさまざまです。適切な治療と環境調整により、症状の改善が期待できます。早期の対応と周囲の理解が、本人の社会生活の質を高める鍵となります。

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