今週から4月が始まります。
桜が咲き、街が少し華やかになるこの季節は、新しいスタートへの期待で満ちています。一方で、「なんとなく気持ちが落ち着かない」「眠れない夜が増えた」「なぜか気力がわかない」と感じている方も少なくありません。
新年度は、変化が集中する季節です。職場・学校・家庭のあらゆる場面で「新しい環境への適応」が求められるこの時期は、心が揺れやすくなる時期でもあります。
それは決して、弱さではありません。変化に対して心が反応しているというごく自然なことです。
この記事では、新年度に心が疲れやすくなる理由と、社会人・お子さんそれぞれに現れやすいサイン、そして対処のヒントをお伝えします。
新年度は、「環境の変化」が短期間に集中します。
転職・異動・昇進・入学・クラス替え──いずれも「良いこと」のように見えますが、心理的には大きなストレスになり得ます。これまで慣れ親しんだ環境・人間関係・ルーティンが変わることは、たとえポジティブな変化であっても、心と体にとっては大きな負荷です。
さらに新年度は「〇〇しなければ」という気持ちになりやすい季節でもあります。新しい職場でうまくやらなければ、子どもが早く馴染めるようにしなければ、今年こそ頑張らなければ。そうした気持ちが重なると、気づかないうちに自分を追い詰めていることがあります。
環境の変化に心が反応するのは自然なことです。ただ、その反応が強すぎたり長引いたりする場合は、適切なサポートが必要なサインかもしれません。
社会人にとって新年度は、異動・転勤・昇進・転職・新入社員の受け入れなど、変化が重なりやすい時期です。
「5月病」という言葉がありますが、実際には4月から少しずつ積み重なったストレスが、ゴールデンウィーク明けに一気に出てくることが多いです。「連休中はなんとか過ごせたのに、仕事が始まったら急に動けなくなった」というケースは珍しくありません。
・休日は回復できるが、月曜の朝になると気持ちが沈む
・職場のことを考えると、胃が痛くなる・頭痛がする
・眠れない、または朝早く目が覚めて眠れない日が増えた
・以前は楽しめていた仕事や趣味に、興味が持てなくなってきた
・「自分だけうまく適応できていない」と感じて自分を責めている
・新しい職場・部署で、誰にも相談できずに一人で抱え込んでいる
「慣れるまでに時間がかかって当然」と思うこと 新しい環境に完全に慣れるまでには、一般的に3〜6か月かかると言われています。4月・5月の段階でうまくいかないことがあっても、それはあなたの能力の問題ではありません。
意識的に「回復の時間」をつくること 新年度は仕事以外の時間も頭が切り替わりにくくなりがちです。湯船に浸かる、散歩をする、好きな音楽を聴くなど、「仕事から離れる時間」を意識的につくることが大切です。
「誰かに話す」ことを後回しにしないこと しんどいと感じていても、「まだ大丈夫」「もう少し頑張れば慣れる」と思って後回しにする方が多くいらっしゃいます。早めに話せる人を見つけることが、回復を早める近道です。
子どもにとっても、新年度は大きな変化の季節です。
入学・進級・クラス替えは、それまでの「安心できる場所と人間関係」が一度リセットされることを意味します。子どもは大人以上に「慣れ親しんだ環境」への依存度が高いため、新しい環境への適応に時間がかかることがあります。
特に「入学」は、それまでの生活リズムが大きく変わる転換点です。園から小学校、小学校から中学校への移行は、子どもが「初めて」感じることが一気に増える時期であり、心が不安定になりやすいタイミングです。
体に出るサイン
・朝、お腹が痛い・頭が痛いと言って学校に行きたがらない
・食欲が落ちた、または以前より食べすぎるようになった
・夜眠れない、夜中に起きてくることが増えた
気持ちに出るサイン
・登校前後に機嫌が悪くなる、泣くことが増えた
・「学校に行きたくない」と言い始めた
・友達の話をしなくなった
・家でゲームや動画ばかりになった
行動に出るサイン
・遅刻や早退が増えた
・学校から帰ってすぐ寝てしまう日が増えた
子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、多くの保護者の方は「無理にでも行かせた方がいいのか」「休ませると癖になるのではないか」と迷われます。
まず大切なのは、子どもの言葉を「甘え」と捉えず、「何かしんどいことがあるのだな」というサインとして受け取ることです。
「どうして行きたくないの?」と理由を問い詰めるよりも、「学校、なんか疲れる感じがする?」と気持ちに寄り添うひと言の方が、子どもは話しやすくなります。
子どもが安心して話せる場所があること、家が「逃げ帰れる場所」であることが、回復の一番の土台になります。
新年度は誰にとっても、心が揺れやすい季節です。
大人も子どもも、変化に適応しようと懸命に頑張っています。「うまくいかない」「しんどい」という気持ちが出てきたとき、それは頑張っているからこそ生まれる自然な反応です。
ただ、その状態が長く続いたり、日常生活に支障が出てきたりするようであれば、一人で抱え込まずに相談してください。
・気分の落ち込みや意欲の低下が続いている
・眠れない、または朝起きられない日が続いている
・子どもが登校をしぶる・行けない状態が続いている
・「自分はおかしいのではないか」と感じている
当院(上尾の森診療所 上尾駅前分院)では、社会人の方からお子さん・保護者の方まで、新年度のメンタルヘルスに関するご相談をお受けしています。「受診するほどでもないかも」という段階でも、まずはお気軽にご連絡ください。
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