社交不安障害は、対人恐怖症といわれていたもので、人前で恥をかくのではないかと強い不安や苦痛を感じる、もしくは、そういった場面を回避してしまうものです。結果として会社や学校に行けなくなってしまうといった結果につながることがあります。教室に入ろうとすると、人目が気になってしまって入れない、人と一緒にご飯を食べようとすると、どう見られているか気になって食べられないといったことがよくみられます。
10代での発症が多いとされ、不登校になっている児童の少なくない割合で社交不安症状が背景にあるようです。不登校という回避行動によって不安を感じずに済んでいる状況が長く続いてしまうと、再度登校するという刺激に対して不安を抱きやすくなってしまうため、早めに医療機関に受診するなどしてご相談頂くことが望ましいと考えます。背景には何らかの発達特性の偏りがあるケースも少なくなく、心理検査などを受けて頂くこともご本人の良いところ、苦手なところを理解する上で良いのではないでしょうか。
治療としては薬物療法と心理療法が挙げられます。
薬物療法としてはSSRIといわれる抗うつ薬や一部の抗精神病薬が使われることがあります。児童の方への抗うつ薬の処方は衝動性を亢進させてしまうリスクがあるため、慎重に行う必要がありますが、少量から副作用に注意して処方させていただくこともあります。一度お薬を飲むと飲み続けなければならないのではないかと思われる方も少なくありませんが、薬を飲むことで学校が危険な場所ではないと思えるようになり、再度登校出来るようになって、その後薬をやめることが出来たというケースは多々あります。
心理療法としては認知行動療法による治療を行います。自分に注意が向きすぎている、周囲から否定的に評価されていると考えすぎてしまう、といったところに介入出来るように治療を行っていきます。
お困りの場合には医療機関でご相談なさってみてください。